雨音が聞こえる

□12.5
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「は〜やっと終わった…」



『ツナおつかれー』





いつも通りの普通じゃない勉強会が終わった。
(最近非日常が日常化してきてる…)





『勉強とかあたしたちみたいに苦手なやつらにはキツいよねーー』



「ハハ…そーだね」





余ったジュースやお菓子を2人でせっせと消費しながら話す。




ちなみにハルとそのお父さんは帰って、
獄寺君はハルんちの車で気絶したまま送ってってもらった。





『あ、そーだ。ほい』





弥白から答えが全部書かれた宿題のプリントを渡された




「あれ、早いね。いつの間に?」




『走ってコンビニに行ってきた「えぇ!嘘!!?」…………嘘。
じゃなくてホントはハルの父さんが車取りに帰ったときに頼んどいたんだ〜』



「び、びっくりした…」





弥白だったらやりかねない。




『ハハハ…って菓子食べきったみたいだね

んじゃ、あたしもそろそろ帰りますか』




そう言って立ち上がる弥白。



一瞬そのまま見送りそうになったけど、窓から見えた暗やみで今の時間を思い出す




「弥白!送ってくよ!」



















『だから大丈夫だって』




「大丈夫じゃない!遠慮しなくていーから!」








さっきっから延々このやりとりの繰り返し。









弥白は『あたしを標的にする物好きな人なんていないから大丈夫!』なんて言ってるけど、









…大丈夫なわけない!









オレがそーゆー性格だったら99%狙ってるって!





弥白はこっちが悲しくなるくらい自分の容姿と性別への自覚がなさすぎる…!





そうオレは思いながら、押し問答は続く。







『あーー…じゃ、そーゆーことで!』






弥白が急に目を泳がせたかと思うと、すごいスピードで走りさった。








そーゆーことでってどーゆーことだよ!



てゆうか足速っ!










…じゃなくて!



「あっ!待って弥白!」



『また明日学校でー!』





出遅れた思考が戻ったときには、弥白はもうだいぶ遠くまで走っていた。








…だから速すぎだって!











オレがなおも彼女を止めようと声をかけたけど一切無視されてしまい、
とうとう彼女の姿は闇に消えていってしまった。
















弥白の走っていったほうをしばらく見ていると、



「フン、ダメツナが。
あそこは呼ぶだけじゃなくて追っかけるべきとこだぞ。」




家の塀の上に座るリボーンが言った。




「リボーン!

見てたんならおまえも止めろよ!!
マフィアは女にやさしくするんだろ!?」







オレはマフィアにならないけど、
こいつはさっき言ってたんだからやるべきだ。






「たしかにオレはそう言ったが、
今のお前がついていってもムダだと思ったから止めなかった


守る相手より弱いやつがいても邪魔になるだけだ

そーゆー偉そうなセリフはもっと強くなってから言え。」




「………………。」





くやしいけど何も言いかえせなかった。








足の速さだけとっても、身体能力に大きな差があるのははっきりしてたから。










「それから、この先3日は弥白と話すんじゃねーぞ。」



「はぁ!?」





なんでそんなことする必要があるんだよ!


弥白と話すのはオレの勝手だろ!






「3日なんて短いもんだろーが。
何かあったイコール2度と話せないのがマフィア界の常識なんだからな。


とりかえしのつかなくなる前に自分の弱さを自覚しろ。」




「オレはマフィアにならないって言ってるだろ!!

それに、オレが弱いのはもうイヤってほどわかってるんだよ!」







本当に、泣きだしそうなくらい。






「そうか…じゃあ勝手にするんだな。」








リボーンは帽子をおろして目元を隠すと、そのままどこかに行った。


















「…ハハ………弱い、か…」



さっきまでの勢いもどこかに消え、自嘲の笑みを浮かべる。








マフィアとかカンケーなく、女の子の弥白よりも弱いって言われたのは正直ショックだった。








オレに力があったら…












今回はリボーンに言われたことを守ろうと思った。











これは弱いオレが招いた結果だから。











…みんなを守れる力がほしい。










夜空にうかぶ
いびつな月をみあげてそう思った。






end.
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