雨音が聞こえる

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〜その日の山本家の夕食にて〜






『ねーねーオヤジ〜〜』





煮物をつつきながら弥白が言う。






「なんだ?」





『あたしの部屋入ったのってオヤジ?』




「!…ぐっ………!…………そ、そーだ。たまには入りたいなと思ってな

どーして父ちゃんだと思ったんだい?」






のどに食べ物をつまらせそうになりながらもなんとかこたえる弥白の父、剛。





『いや〜なんか、あたしが大切な思い出だって思ったものばっか出されてたからさ』



知ってるのはオヤジくらいだし。
そう言って笑った顔をただ剛は見ていた。











『…ごちそーさま。じゃあ先に風呂入ってくるわ』





夕食をあっという間に片付けると、服を取りに家の奥にいく弥白。










剛はその背中を見送りながら、



―お願いだからあたしのことはどーにかごまかしといて。
九より八の蒼燕へ―




つい30分ほど前に会った女性のことを思いだしていた。














蒼燕だけでは手がかりが少ない。


だが、彼女が行った部屋の様子からみるに――












「♪ 神さんもいきなことすんじゃねーか」





口笛をふきながらそう一人呟いた。









先の未来でまた彼女に会えることを願って。










おまけ:end.





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