雨音が聞こえる

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現在、あたし山本弥白は






『あれ 並盛にこんなとこあったっけ?』




なぜかまったく見覚えのない町を歩いている。















すれ違う人はみんな金や茶の髪の毛をしてて、
店?の看板も英語ばかりでいかにも外国!って感じだ。





















あたしがこんなとこを歩いてるわけは、







いつも通り商店街を歩いてたら、上からなにか落ちてきて目の前がピンク一色になって。



気がついたら商店街がおしゃれな町に変わっていたからだ。







多分あのピンクの煙が原因だな〜









たまに商店街でやるドッキリの1つかな。















そう片付けて、今は目新しい外国風の町並みを楽しんでる最中。







たまに親切な店長さんから果物やらパンやらがもらえ。



一度『ありがとう』って言ったけど通じなかったみたいだから
『おいしい』っていうのをできるだけ表現して食べてみせたら喜んでくれた。











もらったものを口にくわえて、リアルに再現されたレンガ敷きの道を歩いていると






「…まさか、山本さん?」








後ろから名前を呼ばれた。




『ん?』





知らない声に首を傾げながらふりかえると、

茶…いや赤毛?の、眼鏡をかけた男の人がいた。




ここまでだったら、そこらへんを歩いてる人たちとほとんど変わらないんだけど


その人だけまわりと違って日本人っぽい顔つきをしていた。







『たしかにあたしは山本っていーますけど……あなたは?』





あ、日本語話してるし日本人か。


このドッキリの企画側の人かな?






「……僕は、」



ボウンッ

『うわっ』






ちょっと前にみたピンクの煙がまたおこって、男の人も、外国風の町並みも見えなくなった。











あーー 結局名前聞きそびれた〜〜









そう思いながら最初も感じた浮遊感をのりきって目を開くと








『あれ?あたし最初商店街歩いてなかったっけ


…わざわざうちにかえしてくれる企画なのねιすごいなー…』






そこはまぎれもなくあたしの部屋だった。










だけど






『…にしてもどーしよ』




部屋の中が泥棒に荒らされたみたいになってる。






『よっし!よくわかんないけど片付けますか!』







あんまり深く考えてもきっと答えは出ないし。


だったら先に行動だ!

















しばらく片付けてて気がついた



『これは野球関連…こっちも野球…あれも……ってあれ?』






床に広げられてたのは、ほとんどが野球関連のものだったこと。







しかも勝ち負けに関係なく、あたしが思い出深いと感じたものばかり。









・・・











『ん〜〜オヤジが見たのかな?

ま、いっか』






盗られたものもないみたいだし、気にするだけムダムダ!













それからも片付けを続けていき、ようやく終わった頃には






『あー疲れた!
たまには部屋の掃除もするもんだな〜〜』











あたしは帰ってくる前までにあったことをすっかりさっぱり忘れていたのだった。











『さてさて、今日の晩ご飯は何かなー』




部屋の電気を消して、部屋を出る。














バタン







暗い部屋に、扉が閉まる音が響いた。






end.


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