雨音が聞こえる

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その赤ちゃんは
平日毎朝うちの塀を歩くんです







名前はまだ知らないけど
とてもかわいい子なのは確かで







ギュウウウって抱きしめたいです











『へー。そーなの』




うっとりした顔で語り終えた友達のハルに返事をかえす




「はひっ!弥白ちゃん信じてないですね!?」





『いや〜信じてるよ?
だけどその赤ちゃんあたし知ってるかもって思ってさー』





「はひ!ほ、ホントですか!!」







黒い帽子とスーツ、ぐるぐるのもみあげってくれば…







『ハルの言うその子本人を見てないから微妙だけど
多分それリボーンくんだと思う』





むしろリボーンくんしかいない






「り、リボーンちゃん…
…はふぅ…なんてかわいい名前なんでしょう……」





息をついてぽやーっと遠くを見つめるハル











これはなかなか戻って来そうにないなぁ










野球漬けの生活のせいで入ったことのない店の雰囲気におされつつ
そんなハルの様子を見て小さく笑った


















この子は三浦ハル



さっきも言ったとおり、あたしの友達だ




けっこう前にあった緑中の試合で、あたしの打ったボール(ホームラン)が彼女にあたりそうになってからの縁。







中学違うしお互い部活で忙しいから、たまにこうして会うくらいしかできないけどね











部活が忙しくてもハルはちゃんと女の子らしい性格や格好してて。




そこがちょっとうらやましかったりするのは秘密だ
















『おーいハル〜?戻ってこーい』








そろそろいいだろうと思ったあたしは、ハルを呼び戻した。





名前呼ぶだけじゃ反応してくれないのは今までのつきあいで知ってるから、

ハルのおでこを軽くこづく。









「ハッ!すみません!
想像してちょっとハッピーな気持ちに浸ってました!」




『まぁそれはいーんだけどね』




あれ、ハルが何か言いたそうにしてる





『どーしたの?』





するとハルはこっちに向き直って言った





「あの、ハルはリボーンちゃんに告白しようと思うんですが…

弥白ちゃん何かいい案あります?」






『アハハ、そっか

うーん……

告白するときは同じ土俵に上がらないと失礼だぞーってうちのオヤジは言ってたけど…』





でもリボーンくん塀の上だしなぁ











「それです!!!」






『へ?』





「塀の上はちょっと怖いですけど
失礼になるっていうならハル一肌脱いじゃいます!!


あ、もう時間なのでハル行きますね!

相談に載ってくれてありがとうございました〜
結果は後で電話で報告しますね


またお話しましょーね!さよならー!!」




一気にそう言うとハルは
伝票を見て自分の分のお金を置き、店を出ていった。















『…うーんこれはツナに言っとくべきかな?』







明日あたしの友達がいろいろするだろうけど気にしないで、って。








ハルが暴走したときはあんま絡まないのが得策











でも伝えたら、ハルにばれたとき怖いし…















うん、申し訳ないけどツナにはがんばってもらおう!








あたしはそう決めて、伝票を手にレジに向かった









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