雨音が聞こえる

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家庭科の時間。



あたしは京子と花と一緒におにぎりを作る。













「ねぇねぇ弥白!誰にあげるか決めてる?」




京子が興味津々って感じで聞いてきた。




「あのねー京子。この鈍感娘に好きな人ができるわけないでしょ」





あたし鈍くないよ?

直感とかよく当たるし。





『ん〜、一応ツナにあげることになってるよ』




「沢田!?もったいない!もうちょっといい奴にあげなさいよ」





えーー。ツナはいい奴だと思うんだけどなー
(「いい奴」の意味が違う!)




「それで、そういう花は!?」


「私?私年上好きだって知ってるでしょ?
同年代の男子なんてただのガキよ」



「そうかな?」






そんな感じでおにぎりが完成。



おにぎりの中身は



京子はシャケ、


花は昆布、



あたしはちょうどうちに余ってた漬けまぐろ。









最初二人に見せたときに
「えーーっ!」って言われたけど、おいしいならそれでいいんだ!















「今日は家庭科実習でつくったおにぎりを
男子にくれてやるーっ」


「オーー!!!」



男子におにぎりを渡す時間がやってきた。








おにぎりを持ったまま京子たちと話していると、
一瞬だけ手の上が軽くなった気がした。







それを確認しようとした瞬間



「ちょっまてよっ何してんだおまえ!?」




ツナが目の前にやってきた。




「!?
あれ?どこいったんだ?」




誰か探してるみたいにキョロキョロしてるのが気になったけど、
約束通りツナにおにぎりを差しだす。





『はいツナ。食べる?』



「い゙っ!?」




ツナの顔が真っ青になった。




まさか漬けまぐろダメだったとか?




『ごめん。
余ってたからって漬けまぐろ使うもんじゃないよね…』



「!いや…そ…そんなことはなくて…っ」





ツナがおにぎりを取ろうとする体勢で固まる。







『ムリして食べなくていいよ?自分で食べるし。』





「10代目が食わないんならオレもらっちゃいますよ」




さっきまで女の子たちに囲まれてた獄寺がやってきた。




『お、獄寺じゃん。味の保障はできないけどどーぞ』



「ちょっ」




「おまえは一言多いんだよったく…」






あたしと獄寺がおにぎりを口に入れようとした瞬間







「食べたら死ぬんだぞーっ!!!!」




持っていたおにぎりを上にはじかれた。







「!」




『ツナ?』











ツナが倒れかけたけど



「死ぬ気でおにぎりを食う!!!」




一瞬で立ち上がり(パンツ一丁)、さっき上にはじいたおにぎりを全部食べた。





「うまい!」










よかった〜。食べてくれた。











それで止まればよかったんだろーけど、まだ足りなかったみたいで
みんなのおにぎりを無差別に食べはじめた。
















結局怒った男子が10人くらいで(その時暴れた獄寺も)取り押さえたものの、
おにぎりはほぼぜんぶツナに食べられていた。

















その後花に、



『そんなことないって』





「いいやまちがいないわ」







「あれは沢田の告白ととるべきよ」





『えー!?』









ありえないって。





あたしとツナは「親友」!








ツナが好きなのは京子なんだから!







さすがに京子本人がいる前では言えなかった。







end.
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