雨音が聞こえる

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『あっつーー…』



まだ朝なのに気温は高くて。
これから昼になった時の暑さを想像してげんなりする。












今日も学校に行く途中ツナを見かけたから、声をかけた




『はよ、ツナ!』



「おはよー弥白」




このごろよく会うね、とつけたした。






「そーだね。
弥白はまだ部活ダメって言われてるの?」




『うん。顧問とオヤジがうるさくってさ
一応筋トレはやってるけどね』





実は内緒でやってるんだけど





「へー」





『あ、そういえば今日の家庭科おにぎり実習なんだって。ツナもいる?』






なんでも並中の伝統になってるらしく、
作ったおにぎりを好き、もしくは気になる男子にあげないといけないらしい。



好きな男子がいない人は仲のいい男子に渡すか、
もらえなかった人に渡すかのどっちか。



なんにしろ男子に渡すことになってる。





「うん!じゃあオレの分も作ってくれる?」




『わかった。作っとくよ』









チリンチリーン











後ろから自転車のベルの音が聞こえてきた。







「あ!」



『?』







振り返ると、きれいな女の人がママチャリに乗ってこっちに来ているのがみえる。




「…人の恋路をジャマする奴は毒にまみれて死んじまえ…」




何かつぶやいてるらしく口が動いてるけど、あたしには聞こえなかった。














「どうぞ」





そう言ってコカ・コーラの缶を2つあたしたちに放ってくる。







「だめえ!!」




あたしが反射的にそれを取ろうとする前に、ツナがバッグで缶を叩き落とした。







おいしそーだったんだけどなぁ…












『今の人ツナの知り合い?』




ツナとあの人が初対面な感じがしなかったから聞いてみた。




「さ…さあ。誰だろーね?」










…?何だったんだろ?








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