雨音が聞こえる

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今日は土曜日。





『くっそ〜、見学ぐらいいいじゃんか…』





いつもだったら部活に行くとこだけど、ケガのせいで休みにされ。






せめて見学を、と食いさがったものの許してもらえなかった。


いつも監督にはお世話になってるけど、今日は恨まずにいられない。














仕方なく、家に帰っててきとうに時間をつぶす。








でも家の手伝いをしようとするとオヤジに止められ。









かといってオヤジのいないとこで手伝いをやろうとすれば、
近くにいる人があたしのケガを見て止めてくる。










みんなしてあたしを監視してるのか

って言いたくなる日だった。











3時頃に、家の電話が鳴った。








「弥白ー。出といてくれ」






『りょーかい』






なんか久しぶりに動いた気がしつつも、受話器を手にとる。






『もしもし?』




「もしもし、…えっと 弥白?」




ツナからの電話だった。





『そーだよ。けどツナ、うちの番号知ってたっけ?』




「あ、連絡網つかったから。」





なるほど。






『それでどーしたの?』




「あの…き、今日京子ちゃんがオレんちに来たんだけどさ」





『うん、それで?』




「ホント色々あってさ、その…至急女の子の服が必要なんだ」




『うんうん』




「それで、弥白の服を持ってきてほしいなと…

あと、
できれば京子ちゃんを家に送っ…いや、家の場所を教えてくれたらな〜って

…お願い…したいんだけど」





『ん、いいよ。』




「ほ、本当!?」





ただし、大問題が一つ






『けど、あたしツナの家知らない』






「あ゙」




ツナも忘れてたのか…





『ツナんちってどこらへん?』





「並盛商店街の近くかな。」



わりとうちから近いかも




『じゃあナミモリーヌってケーキ屋知ってる?』




「ナミモリーヌ…あぁ!あのこじゃれたお店か」




『そうそう。すぐ準備してくからそこで待ってて』




「ありがとう!助かるよ弥白!」




『どーいたしまして

じゃ、また後で』




「うん、バイバイ」





受話器をおき、簡単に身だしなみをととのえて



頼まれたあたしの服を持っていく。






「お、どーした?」




『なんか、友達がこまった状況にいるらしいから行ってくるわ』




「ん、行ってこい行ってこい。」




『じゃ行ってきま〜す』





寿司屋の方から出て、ナミモリーヌに急ぐ。













ナミモリーヌに着いたときツナはいなかった。



だから暇つぶしもかねてショーウィンドウをのぞいてみた。







『うわ〜、おいしそう』




それほどじゃないけど、甘いものは好き。





それに、ここのケーキは全部おいしそうだからついつい見入ってしまう。












思ったよりも集中して見てたみたいで。







何か声が聞こえてはいたけど、あたしが呼ばれてるとは思わなかった。








「……………」




『あ、ツナ
いつからいた?』




「今気づくの!?オレさっき呼んだんだけど!?


…というか、甘いもの好きなの?」




『んー…どっちかっていえば好きだな』




「それにしてはだいぶ熱心にのぞいてたよ?」




『いや、ここのケーキってさ
みんなおいしそうじゃん?だからつい見入っちゃうんだ』





そう言うと、ツナは納得した感じだった。














「そろそろ行こうか?」







そうだった

ツナのうちに行くんだった


すっかり忘れてた






「え゙、じゃあオレが言ってなかったらどうするつもりだったのさ」




『うーん……帰ってた』




「その手に持ってるものはどうするつもりー!?」




『ちょうど燃えるゴミの日だから、ゴミすて場にもってこうと「もういいよ!ていうかそれ自分の服でしょ!」




聞いてきたからこたえたのに…






『で、ツナ。早く行かなくていいの?』




「そうだったー!」







ガーンという効果音つきで言ってるツナに笑いながら、ナミモリーヌを後にした。









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