雨音が聞こえる
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｢チームわけは終わったか？｣
｢あと一人です｣
今日の体育は、女子はまた見学。
だから、男子の先生に頼みこんで、獄寺が休みでちょうど一人足りてないとこに入れてもらった。
普通の体育だったらそんなことしないけど、
今日の男子の授業は野球だから。
先生もあたしが野球好きなの知ってるからあんまり言ってこなかった。
ま、それであたしを含めチームわけをしたんだけど、ツナだけが残されてしまった。
｢だから
ダメツナはおまえ達のチームにくれてやるって｣
｢やだね！負けたくねーもん｣
｢バレーはすごかったけど野球が超ヘタなのはわかってるからな｣
２つのチームの間にぽつんとたたずむツナ。
あまりにツナが寂しそうに見えたあたしは言った。
『いーんじゃないの？こっち入れば』
｢｢！｣｣
｢！｣
そのとたん、チーム内からブーイングの嵐。
｢まじ言ってんの山本
っ
なにもわざわざあんな負け男｣
『ケチケチしない！
あたしがうたせなきゃいーんでしょ？』
バシッと背中を叩いて言う。
乱入しといて悪いなって思うけどピッチャーはあたしになってるんだよね。
｢山本がそう言うんなら、ま、いっか｣
そしてツナはこっちのチームに入ることになった。
試合が始まり、一番バッターのあたしはすぐにバッターボックスに立つ。
相手ピッチャーは、一年の中ではそこそこ早い球を投げるやつ。
いくらスランプとはいえ、レギュラーじゃない人の球が打てないのはヤバい。
内心ハラハラして打ったボールは、ファールすれすれのホームラン。
……嘘でしょ
動揺を顔に出さないよう気をつけながらベースを回る。
『いや、わるいねー』
｢ちぇ、お前は片手でうて!!｣
ホームベースに戻ってくると、みんなに囲まれ、温かくむかい入れられる。
｢ナイス!!山本！｣
｢さすが野球バカ！｣
｢｢ヤシローステキー！｣｣
もし、あたしから野球を取ったら何が残る？
｢野球バカ｣そうだ、あたしのことをそのまま指してる。
今あたしに向けられてる視線は、声は、表情は、全部、野球があるからある。
あたしから野球を取ったら、あたしは存在できるのかな。
みんなの中で笑いながら、
そんなことを、
思った。
一方、校舎の屋上のタンクの上。
カメレオンが乗るボルサリーノをかぶった赤ん坊が一人ごちる。
｢山本弥白。
奴の運動能力と人望はファミリーに必要だな｣
歯車が回りはじめた
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