雨音が聞こえる

□4
1ページ/2ページ



「川田」


「はい」



「栗原」


「はい」





今日は理科のテストが返ってくる。


正直言って全然わかんなかった。



しかも今日の先生は根津。



あたしが並中で唯一苦手な先生だ。








根津は、成績が悪い生徒に、自分が一流大卒だっていうことをネチネチと自慢してくる。



その他、女子に対しては「〜したら成績を上げてやる」と言っていて。



あたしも何回か言われたことがあるけど、全部ことわってきた。











「沢田」


「はい」



テストを返す順番がツナにまわってきた。









ツナが前に来ると、根津はみんなに聞こえるくらいの音量で舌打ちする。






そして、テストを受けとろうとしたツナの手から紙を遠ざけ、こう言った。






「あくまで仮定の話だが……クラスで唯一20点台をとって平均点をいちじるしく下げた生徒がいるとしよう」



「あの…っ?」




「エリートコースを歩んできた私が推測するに
そういう奴は学歴社会において
足をひっぱるお荷物にしかならない」






それって……






「そんなクズに生きている意味あるのかねぇ?」


ペラン



「うわーーーーーっ」





わざと点数がみんなに見えるようにツナにテストを返す根津。



書いてある点数は26点だった。






それを見て、今までやりとりを見守ってたみんなが笑う。







うん、やっぱ根津は苦手だ。







真っ赤な顔のツナが席に着いたとほぼ同時に、






ガラッ





後ろのドアから獄寺が入ってきた。





「コラ!遅刻だぞ!!今ごろ登校してくるとはどういうつもりだ!!」



根津が獄寺を叱るけど、



「ああ!?」


「う…っ」



獄寺に睨まれてちぢこまる。







「やっぱこえーよあいつ…」


「先パイ達をしめ返したって話だぜ」



そんな言葉が教室にヒソヒソ飛びかう。





獄寺はそれを無視してツナのほうに歩いていく。



そして




「おはよーーございます10代目!!」




さっきまでの睨み顔が嘘のような顔で、ツナにきれいなおじぎをして言った。









この前いなかったときに友達になったのかな?









そんなこんなで、根津の言葉に怒った獄寺が
根津を気絶寸前までしめあげ、
なぜかツナも一緒に校長室に連れていかれた。










その後の教室はちょっとざわめいていたけど 解答が配られて、それぞれがテスト直しをし始めた。





ちなみにあたしのテストは31点。





でも、テスト直しをしてて気がついた。




一個だけ、間違ってるのにマルされてる。






間違ってマルするようなとこでもない。





これがバツだったら28点。


ツナと同じく 20点代になる。







…まさか、わざと?




あたしはその後、山本弥白と名前の書かれたテスト用紙をにらめっこしていた。












根津が戻ってきたら問いただすつもりだった。



けど、今日のうちに学歴さしょーで根津は解任された。













だから、わざとなのかそうじゃないのかは分からないまま。









end.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ