光と闇の先に
□痛み
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学校は遅刻覚悟で行く事にした
何もしたくなくてただぼぅっと宙を仰いでいた
不意にピリッとした痛みが襲う
そう言えば…リストカットしたんだっけ
言わば自殺未遂なのに、私は呑気にそう思っていた
適当に引き出しを開けて消毒液を取り出し、無造作に傷の手当てをする
元々血は少し前に止まっていたから楽だったし、痛い筈なのにあまり痛みを感じなかった
包帯をするのは嫌だから、机の上にあったシュシュを手首に付けた
昔、政宗が私にくれたもの
宝、物だったっけ
きっと政宗は覚えていないだろうけど…
制服を着て、カバンを持ち階段を下りる
リビングには誰も居ない
机の上には朝食と書き置きのメモ
「今日は帰らないから」
たった一言、そう書いてあった
そのままメモをくしゃりと握ってごみ箱へ捨てた
パンを一口かじって残りは冷蔵庫に
開けてみると中身は何も無くて
『…買い物、行かなくちゃ』
うわごとのように呟いて、ゆっくりと家を出た