光と闇の先に

痛み
1ページ/1ページ






学校は遅刻覚悟で行く事にした








何もしたくなくてただぼぅっと宙を仰いでいた








不意にピリッとした痛みが襲う










そう言えば…リストカットしたんだっけ










言わば自殺未遂なのに、私は呑気にそう思っていた








適当に引き出しを開けて消毒液を取り出し、無造作に傷の手当てをする








元々血は少し前に止まっていたから楽だったし、痛い筈なのにあまり痛みを感じなかった








包帯をするのは嫌だから、机の上にあったシュシュを手首に付けた









昔、政宗が私にくれたもの









宝、物だったっけ









きっと政宗は覚えていないだろうけど…









制服を着て、カバンを持ち階段を下りる









リビングには誰も居ない










机の上には朝食と書き置きのメモ












「今日は帰らないから」










たった一言、そう書いてあった









そのままメモをくしゃりと握ってごみ箱へ捨てた









パンを一口かじって残りは冷蔵庫に









開けてみると中身は何も無くて









『…買い物、行かなくちゃ』









うわごとのように呟いて、ゆっくりと家を出た











 


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ