ワレモコウ

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「いらっしゃい。今日は一人なんだね。個室にする?」



「はい。悠のお父さんは?」


「あ。話?了解。アラ〜ン。お前に客〜」



父「店長、テンション高いね」


「幸村君」



幸村「こんにちは」


父「ああ。彩夜と悠のことだね」



感づいた父は個室に案内する。
案内した父は、幸村の前に座る。



幸村「二人がこのままでも良いんですか?」


父「直球だね。うーん。彩夜もずっと我慢してたからな。ワガママも言わず何もかも溜めて、親である私達にでさえ言わなくて、家に帰ったらピアノと勉強。そんな彩夜を見てるの辛くて、犬飼ったんだ。少しでも外に出てくれたらと思って、でも結果は敗退。中学に入って比呂士に会って恋人になって…比呂士に支えられて…そこから彩夜、家でも明るくなった。良かったって…。でも、あの子の生活は変わらない。前より忙しくなったんじゃないかな?」



幸村「…」



父「あの子が単に、逃げる為にピアノも勉強も料理もしてるわけじゃないんだよ」



幸村「どういうことですか?」


父「ピアノはね。母方の祖父が作って居てね。ファッションは祖母が…。妻は昔、ピアニストになるのが夢でね。でもファッションデザイナーになった。それを知ってた彩夜は、ピアニストを目指した。まあ…祖父が彩夜を救ったのが始まりもあるんだけど」



幸村「ピア二スト…」


父「勉強はね。世界に活躍できるピアニストになるんだって昔、言ってた。料理はね。私も妻も仕事で、家に帰れない事があったりするから…。最初は悠にも教えたんだけど、やりたくないって…言ってね。彩夜だけは真面目に何回も繰り返しやってたよ。毎日、家に帰って来るとピアノ、ヴァイオリンの練習して私から料理のメニューを習って、生徒会の仕事してその繰り返しだった」



幸村「悠は…」



 
 
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