ワレモコウ

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『柳生』


柳生「戻りましたね」



『未来』


未来「うんうん。彩夜はこうでなくちゃ」



学校に通い、手元にあるのはヴァイオリン。
もう失いたくないヴァイオリン。





よっしゃ弾く



柳生「え?



未来「じゃあ。付き合う」


三年は部活を引退した為、教室にはそんな人数がいない。
未来もヴァイオリンを取り出し構えた。


アイコンタクトで演奏が始まる。
数人のクラスメートがうっとりしながら演奏を聞いていた。





幸村「…な…んで…」





演奏が終わり、机にヴァイオリン。隣に居る柳生に充分甘える。



『比呂士』


柳生「彩夜、どうしました?甘えて」


『楽しい』



ヴァイオリンをケースにしまうと、目の前に幸村。
その表情は怒りに満ちていた。



幸村「なんで…ヴァイオリン…」



『…』


幸村「だって壊れたって…」



『父方の祖父が買ってくれたの』


幸村「悠はあんなに苦しんで辛い思いをしてるのに、ヴァイオリンを買ってもらってウキウキしてッ許せない」



ドンッ


彩夜は立ち上がり、幸村を押した。
幸村はバランスを崩し、床に尻を着く。




アンタに何が分かるのよッ



仁王「そうじゃな。幸村にはなんも分からんな」



未来「仁王、来たんだ」


仁王「おはようさん。彩夜と出会って、ずっと幸村を見とった。でも、幸村、お前…彩夜の内面側をよく見もしないで好きになったじゃろ?」



幸村「なに…それ…」



仁王「彩夜、もうバラしてええじゃろ?」



未来「…」


仁王「お前さんと悠をくっつけたホンマの理由な。俺等、耐えられんかったんじゃ」


 
 
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