それが真実ならば2
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『凪兄、一緒に…』
「ん?」
彩夜が本を持って上を見上げた。
凪は、彩夜を抱きかかえて自分の部屋に連れて行く。
ベッドに寝かせると彩夜の手に持っている本を開いた。
そして、彩夜に読み聞かした。
『ん…』
彩夜の身体から見える包帯が痛い程、胸に突き刺さる。
けど、隠さなくてはいけない。
彩夜は覚えていない。
「彩夜、好き?」
『好きだよ、凪兄もみんな…』
「彩夜、いろんな場所に行こうね」
『うん。おにいちゃん達と行く場所なら、きっと何処も楽しいね』
「そうだね」
二コリと笑う彩夜に自分のしてきた事が重い。
彩夜が眠りに着いたベッドに寝転んだ。
けれど眠りに着く事なんてできやしない…。
「凪」
「…」
「後悔してる?でもね、彩夜はそれを受けてきたの…きおくを失ってもね、凪を怨むかもしれないわ。今はまだ小さな子供でも、その子は城月家の人間で その子は一族の掟に沿うなら経済を継ぐ子…」
「知ってます…」
「みんな、苦しみなさい…生きている事を後悔しなさい。それでも、生きていかなければならないと覚悟を決めなさい」
『ママ?』
「彩夜は思い出す…きっと、貴方達に仕返しをする…それだけの力は身に付いているから…凪、貴方はそれに耐えなくてはならない」
『光…雅…』
寝言が聞こえてくる隣を見れば、彩夜の目から涙が出て来る。
自分にはどうしようもできない。
今の母親が彩夜をそのまま抱えて部屋を出た。
後から来たのは、罪悪感…。
誰も…誰も助けてなんてくれない。
「ごめん…ごめんな…彩夜…俺…俺…」