過去拍手文
□沖田さんと膝枕
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「今日は晴れてて暖かいですね」
「そうだね。こういう日は日向ぼっこに限るよ」
陽の差す縁側に腰を下ろし二人が空を見上げる。
ふと、私は沖田さんを見た。眩しさに少し目を細めながら気持ち良さそうに微笑を浮かべている。その姿に思わずクスリと笑う。
突然の笑いに驚いて彼が振り向く。
「どうしたの?」
「何でもないです」
そう?、と尚も不思議そうに首を傾げる。
まさか無邪気な可愛い子供だと思った、なんて言える筈がない。万が一でも言ってしまえばこんな沖田さんは一瞬で消え去ってしまう。
などと考えていたとき、太ももに重みを感じた。何かと下を向けば沖田さんの顔。
「駄目?」
「……いいですよ」
やった、ってすごく嬉しそうに喜ぶ彼。やっぱり今日の沖田さんは子供みたいで可愛い。あんなの断れる訳がない。
彼はいつの間にか私の手を取り己のそれと絡めていた。応えるかのように私は握り返す。
「君を一人占めできるのは僕だけだからね?」
この瞬間、確信犯だと思ったことは秘密にしておく。
わかってますよ、と答えると納得したように先程まで私を映していた翡翠の瞳をゆっくりと閉じた。
そっとつながれていないほうの手で頭を撫でてやる。
眠ってしまっただろうかと思ったが寝息が聞こえないので違うのだろう。
いつ見てもきれいで整った顔だなあ、なんて眺めていると翡翠色の瞳が現れた。
撫でていた手を止め寝ないんですか?、と問えば君をみていたいから、とさらりといってのけた。
頬が赤く染まる。自分でもわかるくらい。……どうして普通に言えるか知りたい。彼に照れるなんて言葉、存在しないのだろうか。
「真っ赤だよ?」
「…沖田さんのせいです」
「そうだね」
「………」
返す言葉が見つからない。クスクス笑う彼を軽く睨めば伸びてくる片手。私の頬を撫でるように触れ、優しく微笑む。
頬に添えられた手に私の手を重ね微笑みながらすがりつく。
ずっとこうして大好きな人と幸せな一時を過ごせたらいいのに。
そう思える程幸せなのかもしれない。
(今度は僕がしてあげるよ膝枕)
(えっ!!?)
(……嫌?……)
((うっ)嫌じゃ、ないです)