浪漫奇譚
□[5]戦いの果てにあるもの
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「おい、大丈…夫…か……?」
異形のアムリスに襲われ恐怖に震えている女の子……のはずだった。
しかし状況はルビアスの想像と違っていた。
震えているどころか、果敢にも強い眼差しで睨めつけていた。
サーバスが女の子に向かって腕を振り上げる。
ルビアスは咄嗟にサーバスを足止めしようと火光球を打ち込んだ。
そのとき女の子が左手を天に突き上げ、高い声で叫ぶ。
「ミューテイション!!」
身に着けていた服が散り、小さな体が二次性徴を早送りで見ているように四肢が伸び、胸が膨らむ。
そして散った服が体の変化に合わせて新たにバトルギア・スーツを形成し少女を包み込んだ。
金色に輝くコスチュームも眩しく、四人目の仲間、金のフラビスだ。
その姿には、さっきまでの子供の肢体はどこにもない。
変身後は少女の姿になるのがこの輝石の力らしいことを今さらのように思った。
フラビスは左手の甲に納まった黄玉から二本の短剣を取り出す。
刃が波状のクリスダガーと呼ばれる得物だ。
「変身したか。だが、フラビスになってもしれたこと!! 行けラターム!!」
シアネスが驕傲な態度で命令する。
新たに地中から湧いたラタームが突進してきた。
フラビスはクリスダガーの柄頭を繋げると、ラタームめがけて放った。
ダガーはくるくる回転をしながらラタームを切り裂き、再びフラビスの手元に戻ってくる。
「おのれ、フラビス!!」
シアネスは顔を苦々しく歪ませ、空中から石を出現させる。
それを手近にいたラタームに埋め込んだ。
途端にそのラタームが咆哮を上げた。サーバスに変化する。
二体となったサーバスは挟み込むようにフラビスに迫る。
「ラタームがサーバスに――」
サーバスが作り出される場面を目の当たりにしたルビアスは、シアネスが持っていたあの石の正体が気にかかる。
自分たちが持つ輝石と同じなのか。
「ルビアス! ぼさっとするな。戦いで油断は大敵だ!!」
「サフィーラ!!」