アニキの恋人
□アニキの恋人
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だけど、変なんだよね。
アニキにカノジョが出来たんだというのは間違いない。
これ確実。
なのに、いったいどんな人なのか、何も話さない。家族なのにこれってミズくさくない?
オレ、たった一人の弟よ?
だけどその代わりっていっちゃなんだけど、アニキ、ムロオカっていう人の話はするんだ。
何でも同じクラスの委員長らしい。学年でも一、二番の頭のいい人で、休み前のテストがアニキにしてはデキが良かったのは、その人に教えてもらったからなんだって。
オレにもそんな勉強を教えてくれる人いないかな。
ああ、それよりもカノジョだ。
カノジョが欲しい。
とはいえ、そのムロオカっていう人、うちにも来るようになったんだよね。
アニキが連れてきたんだ。
だけどね、いくら同じクラスといったって、そのムロオカっていう人、アニキと友達するようなタイプには見えないんだ。
ホントに運動バカのアニキとは正反対。
秀才っていうか、まさに委員長。どこがどう気が合うんだか。
ウチのクラスにも委員長はいるけど、そうだなムロオカさんは、それともまたちょっとタイプが違うや。
とはいっても、ちょっと見ただけだし、話したこともないんだけどさ。
そういうわけでムロオカさんはウチに来るようになった。
来て何しているかといえば、部屋にこもっちゃって、勉強らしい。
でもさ、オレはゼッタイ違うと睨んでる。
だってさ、ひどいんだよ。
宿題するからって、二人して部屋にこもっちゃったんだけど、オレ辞書が借りたくてアニキの部屋行ったら、すごいケンマクで追い出されたんだもん。
あれってきっと親には言えないようなことしていたんだよ。
アダルトビデオ観るとか、Hな写真集とかさ。
そりゃノックなしにドア開けたのは悪かったけど。
だけど怒ることないじゃないか。
ムロオカさんはアニキのベッドで笑い転げてたけど。
あの人あんなふうに笑うんだ。
へへ、焦るアニキと対照的だったなムロオカさん。