フレンズ

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恋というには幼くて、子供じみた独占欲にも似た思いは、過ごす時間が増えるとともにそれが何だったのか自覚したのだと言った。

「はじめは友だちだと思っていたんだ、これでも。一緒にいて、クラスでは見せなかったあんたを知って。それが、オレが覚えていたとおりの“あさみ”で。……変わっていなかった」

とくん、と胸が鳴った。鼓動が大きくなっていく。

「おまえバカか」
「ひでぇな。だって、変わってないじゃん。泣きそうな顔でやせ我慢ばかりしてさ。こんなのにつき合っていられるかって、内心思いながらも面倒見てくれて。――けど…さ、笑うと可愛いんだよな」

可愛いと言われて、顔が赤くなっていく。
それが恥ずかしくて乱暴に返す。

「おまえ、いっぺん眼医者に行きやがれ!」

だがどんなに悪態をついても三上には敵わないのだ。
にぱっと笑い、受け止めてしまう。

「だけど……保健室でのこと、あれはきつかった――…。副会長に嫉妬して。でもまともにそんな気持ちぶつけたら、あんた怯えちまうって思ったし。だから…あのときは何でもない振りした」

打って変わって苦く心のうちを吐露する三上に、どうしたらいいのかもどかしくなる。

「三上……。ああ、まったく。おまえって――」

三上が好きなのだ。
ひっそりと閉じ込めようとした思いはもう自分だけの胸にしまうことは出来ない。

腕を上げ、自分の首筋に顔をうずめている三上の頭に手をやる。
しなやかな真っ直ぐ伸びた髪に指を絡めた。
抱き込む腕が強くなり、耳元に三上の息がかかる。

腕の中で雅人は無理に首を捻る。
斜め上に自分を見つめている眼差しがあった。

そっと笑み、目を閉じた。
唇に三上のそれが降りてきた。
重ねるだけの口づけに徐々に呼吸が乱れ始め、向きを変えられ顎を取られると、さらに口づけは深くなった。

「んっ……」

誰かが来るかもしれないこんな場所で。
抱き合い口づけを交わすなど、今までなら考えられなかった。

「そういや、オレあんたの気持ち聞かせてもらっていない」
「ばーか。今さらじゃないか。散々俺を押さえ込んでキスしまくってるの……に……」

軽口のように交わしたつもりだった。
しかしそれだけでは済まない感情が含まれてしまう。

 
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