フレンズ
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性描写あります。ご注意ください。
二日目の夜は肝試し。
クジで決めた男女がペアになって展望台までのぼり、反対側の道を通って戻ってくる。
道順は決まっているとはいえ、外灯もなく人の足で踏み固められた道は、夜歩くのは非常におぼつかない。
手にしているのは一般家庭用の懐中電灯一つだ。
「これで半分だな」
展望台のすぐ下の広場で、通過していくクラスメートをひとりチェックしていた雅人は、誰にともなく呟いた。
昨夜ここで典之と話をした。
だがそれがずいぶん遠い出来事のようだ。
そのあと起きたことを思えば、それも仕方がない。
典之に覚える申し訳なさと感謝の気持ち。
抱く思いに違いはあったが、典之という存在が自分を救ってくれたのだ。
他人と距離を置いていた雅人に、唯一関わってきた――…。
(友だち……か……)
勝手だと言われようと、典之への思いはそれが一番近い。
そして三上。
あの日出会った少年はあのときの純粋さそのままに自分の前に現れた。
「普通やめるだろ? ずっと思い続けてきたって言ったって、あのあさみはこんなのに育っちゃったんだぜ。川野じゃないがホント純情バカ」
泣いていた自分を気遣い慰めてくれた少年のことなどすっかり忘れていたというのに。
「誰がバカだって?」
「三上! おまえ、こっちじゃないだろ」
言い返しながらも、ここに来てくれたことが嬉しいと思った。
「だって、つまんねえもん。胆ダメシったって別に怖かねえし」
「それを提案したのはおまえだろ。お化け屋敷やってるんじゃないんだから」
「だけどさ、肝ダメシって、やっぱ好きなコと組んでこそ、そのダイゴミがあると思わないか」
子供のように笑いながら、三上は雅人の後ろに回る。
背後からその胸に抱き込められるとまったく身動き出来なくなった。
胸の前で交差された三上の腕に雅人は手をかける。
「暑苦しい。離れ、ろって」
「やだね。やっと思い出してもらえたんだ。離すかよ」
「三上――…」
「ずっと探していたあさみはオレのことすっかり忘れちゃっていたけど」
自分を思い出して欲しかったと言った。
キャンプを提案したのも、球技大会の実行委員を立候補したのも。
少しでも一緒にいたかったから。