フレンズ
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相変わらずの天気模様に季節感がおかしくなる日が続いていたが、今日あたりは一雨来るらしい。
まとわりついてくる湿気を不快に思いながらも、元来の性分か雅人は生真面目に授業を受けていた。
「ここは試験範囲だからな、しっかりやっとけよ」
教科担当教諭がそのセリフを言えば、否応なしに学期末試験が近いことを意識させられる。
何に対しての抗議なのか、生徒からあがるブーイングの中、雅人はいつものようにノートに書き込み、試験勉強の段取りを考える。
試験だからといって、家でそれほど勉強に費やすことはしない。
授業と放課後図書室でその日の復習と予習をするくらいだ。
あとは不得手とする科目にかける時間を増やすぐらいか。
しかし最近どうも勉強に集中出来ずにいる。
さすがに授業中はないが、気がつけば背の高いクラスメートを目で追っていた。
自分でもどうしてこんなに意識しているのか分からなくなっていた。
昼休み、級友と話すでもなく一人自席で次の授業の教科書を準備していると目の前に影が出来た。
「室岡、どうかしたの?」
「川野さん…なに……?」
副委員長がいつになくぼーっとして見えるらしい委員長を心配してか、声をかけてきた。
単に物珍しさからかもしれない。
「最近…試験前に珍しいよね。ていうか、どっか上の空みたいな室岡って初めてかも」
最近――。
聞かれても困惑するしかない。
それに雅人自身、答えとする「解」がない。
言わば代数だけ提示されて、まだ式にもなっていない状態だ。
「そんなこと……」
自分でもつかみかねている状態で人に説明など出来るはずもない。
当然あいまいな対応になるのだが、川野のほうが上手だった。
「三上が気になる?」
あっさり代数…原因を言いあてられた。