フレンズ
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衣替えも済み、じめじめとする季節を迎えながら、球技大会も一ヶ月後に控えていた。
それは期末試験も同時に控えているということでもあるが、試験の煩わしさより、「ナントカ大会」のほうが心惹かれるのは仕方がない。
その大会もそろそろ種目別の選手を決めねばならない。
「では、球技大会の参加種目、決めたいと思いまーす」
少しハスキーに響く声で、球技大会実行委員が宣言する。
今は朝のショート・ホームルームの時間。
僅か十分程度でどこまで決められるものだろう。
教室内はざわつきながらも、皆、前に立っている三上を見ていた。
「おい、ちょっとくらい静かにしてくれよ。早いとこ決めてぇんだって」
クラスメートが自分のときには見せない表情をしているのに雅人は気づく。
「じゃあー、種目は去年とおんなじで。男女混合の『ソフトボール』と男子のみの『ハンドボール』、あとは男女それぞれの『バスケ』『バレーボール』『卓球』だな。それと補欠が種目関係なく男女二人ずつ。これは掛け持ちだからな。で、当たり前だけど、所属している部活と同じ種目の選手にはなれねぇんだ。いいか?」
雅人は三上のやり方を見ていた。
意地の悪い言いかたをすれば、お手並み拝見とでも言ったところか。
「なぁ、なんでハンドボールなワケ? サッカーの方がメジャーじゃん。ルールよく知らねぇし……」
文句よろしく声を上げたのは三上と仲のいい伊沢(いざわ)だった。
「去年、一年ときの冬。授業でやったじゃねぇか。バスケとサッカーを合わせて二で割ったようなもんだって。あとは何かある?」
簡単にハンドボールをいうスポーツを説明した三上に、それ以上反応する級友はなかった。
女子にしてみれば関係ない種目であったし、それを選択した人間だけがルールを把握していればいいといったところか。
一時限目開始のチャイムが鳴る。
「えっとー。へ、めんどいな。んじゃ、種目は早い者勝ちということでいつでも言いに来てくれ。定員になったら締め切りね。言ってこなかったヤツの分はこっちで決めちゃうからねー。では以上で終わり」
三上はホームルームの終了を告げた。
ずいぶん乱暴な決め方だと雅人は思った。
しかしやはりそれに異を唱えるものはなかった。
相変わらず覇気のないクラスだと思うしかなかった。