ビー(エ)ル!!*C Vol.1
□深い海の底で奏でる。
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二人で遅めの朝食をとった。
妻は僕の朝帰りについては、最早何も言わない。
多少のことには目を瞑っていれば、楽な暮らしを続けられるとでも思っているのかもしれない。
「誓詞さん、今日は仕事だったんじゃないんですか?ゆっくりしてていいんですか?」
「昼までに局に入れば問題ないから。」
「ま、それもそうっすね。」
彼は朝食を食べ終わり、丁寧にも食器をシンクに運んだ。
「置いといていいよ。僕が後でやっとくから。」
「はい。じゃあ、俺そろそろ行きます。一度自分の部屋に帰らないといけないし。」
そう言って、寿は足早にこの部屋を出て行った。
静寂に包まれた部屋で、僕は今日もまた一人取り残される。
END.