ビー(エ)ル!!*C Vol.1
□不協和音が鳴り響く。
20ページ/20ページ
遠退く意識の中で、君が悲しそうに笑った……ような気がした。
「おやすみ、寿。愛してるよ……。」
次に気が付いた時は、すでに夜が明けていた。
隣には埜上さんが寝ていて、俺は彼を起こさないようにそっとベッドから抜け出した。
床に散らばった服を拾い集めて着ると、腰を庇いながら寝室からリビングへ行き、ベランダへと出た。
ズボンのポケットに押し込んだ煙草の箱から一本取り出し、火をつけて吸った。
煙が朝焼けの空に溶けて行くのを、俺はぼんやりと眺めた。
そして、もう戻れない昨日までの日々に別れを告げた。
END.