ビー(エ)ル!!*C Vol.1
□心の中に残された音楽。
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寿の事は好きだ。
だけど、今のこの関係を壊したくなくて告白する勇気はない。
相手は同じ男だし、受け入れてもらえるとは思えない。
それならば、君の隣で歌うオレのポジションを死守したかったんだ。
「渡月(わたつき)くーん。」
「あ、はい。何ですか?」
音楽番組の収録が終わり、共演した女性ボーカリストがオレを呼び止めた。
「よかったら、この後食事にでも行かない?」
いつもなら断ってしまうのだが、この日は何故か誘いに乗ってしまった。
その後どちらかの部屋になだれ込むんだろうなってぼんやりと考えていたから、本当に一緒に食事をしただけで終わって、ちょっと拍子抜けしたのは今でも覚えてる。