ビー(エ)ル!!*C Vol.2
□表と裏
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「やりますっ!!」
僕は二つ返事で担当を引き受けた。
そして、彼の個人事務所で初顔合わせとなった。
担当を引き受けたのはいいものの、かつての思い出が頭の中を駆け巡った。
――ズキッ。
胸がきしんだ。
あのころ――僕がまだ教師をしていたころ、篠塚さんの曲をよく聞いていた。
だから、曲とともに寿(ことほ)の顔がどうしても頭の中に浮かんできて、苦しくなった。
僕が初めて寿に弾き語ったのも、寿が初めて僕に弾き語ってくれたのも篠塚さんの曲だった。
肇に言われたように、僕はいつまでも寿のことを引きずっている。