claps!

□梅雨葵
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「……それ、どう?おもしろいでしょ?」

「っ!?」

あいつの声で、現実に引き戻された。

「あ、ゴメン。ビックリした?ゴメンね。」

「別に。」

俺は強がる。

何でもない振りをする。

あいつに、あいつのことを考えていたなんて悟られないように。

「帰らないの?」

俺は本をパタンと閉じ、立ち上がった。

あいつは俺の周りをウロチョロしてる。

俺は迷惑だと言わんばかりの渋面を作って、自転車のカゴに入れてある鞄の中に、さっきまで読んでいた本を押し込んだ。
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