(宝物小説)

□春夕貴様
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喫茶(銀+退+土)



「…猫の…耳?」

黒い猫の耳がついたカチューシャが一つ、店長の相棒である角の色が少し剥げたパソコンの上に置いてあった。
その猫耳カチューシャから視線を逸らさずに、少し腕を伸ばして、隣にいる山崎の裾をちょいちょいと土方は引っ張った。
素で可愛い行為を受けた山崎はキューンと何度となく聞いてきた心の鳴き声をまた聞いてしまった様で少し顔が赤い。

「山崎、猫耳だ。」

「猫耳ですね。」

「猫耳だな。」

いつ入って来たのだろうか、起きたばかりなのか
眼鏡が少し下がりネクタイはネクタイの役目を果たさずただぶら下がっている様な状態だった。
上司に呆れた溜め息をつくと山崎は例の猫耳に人差し指を向けた

「これ、どうしたんです?」

「山崎君、君ならわかる筈だ。」

「わかりません、いやわかりたくもありませんよ。どうせ風俗かなんか行って貰ったもんでしょうが。」

店長であるこの男はわかってないねぇと大袈裟に両手をあげ首を竦めた。

「メイド喫茶ならぬ猫耳喫茶なんてどうよ」

風俗で貰った事は否定しなかったな…なんて思いながらも何となく猫耳喫茶もありかも…などと山崎は思う。

「ふーん、で?誰がつけんだ?」

「土方君しかいないでしょ?」

これ、土方君のだからクロネコ仕様なんだよーなんてアホな大人に制裁を加えるのはだいたい山崎の役目で、思いっきり拳で殴っておく。

綺麗なストレートに

「おー!つぇー。」

場違いな台詞に少し満足したりして。

ふと猫耳に手を伸ばした土方に、捨てるのだろうと予想した山崎は見事に裏切られた。

「こんなの男がしたって似合わねぇよ。

ほら、な?」








「ってうわ!山崎!
鼻から血出てる!
山崎?
おーい山崎ー?」




山崎、猫耳ゲーット



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