Short Story
□The 青春!
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“まったく、お前なあ。部員が帰った後まで残って練習してるから帰りが遅くなって、朝が辛いんだろ?”
図星だったから、何も言い返せないわけで・・・、ちょっと苦笑いする。
その反面、内心では先輩が知っていたことが、嬉しかったりする。
“図星か。詩音、明日から俺が朝迎えに行くから、朝練に来い。ついでに帰りも送って行ってやるよ”
“別に、先輩にそこまでしてもらう必要なんてありません。私、もとから夜型人間なんで、大丈夫です。それに、一人のほうが集中できるので”
本当は嬉しいのに、恥ずかしくて、思ってもいないことを言う。
“ったく、素直じゃねーな。昔から”
“先輩に言われたくないです。では、準備もありますから、先に行きますね”
“おい、ちょっと待てよ”
そんな先輩の制止を聞かずに弓道場へと走って行く。
気が利くのか、お節介なのか、裕子の姿はなかった。
ねぇ、先輩?
天邪鬼な私の恋心、早く気付いて下さいね?
END.