Short Story
□小さな恋
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“急いでっ!電車いっちゃう”
これ逃したら家に着くの10:30過ぎちゃうι
“わかってるって”
“ちょっと、翔遅いっ”
“ったく、お前が速いだけだろ、桜”
パタパタと、夜遅く学校から駅までの道を、私たちは駆け抜ける。
“間に合ったぁ”
私がほっとして声をあげるとともに、プシューっと音をたてて電車のドアがしまる。
フーッ、と安心するのとは反対に、ゼェゼェと肩で息をするのは、ゼミで一緒の翔。
“うわぁっ、翔大丈夫?”
“んっ?…大丈夫。ってか、お前体力尋常じゃねぇ”
“あはっ?これでも陸上部期待の星だから”
私は冗談っぽく笑って言った。
“おう、頑張れよ?”
“うん!ってか、ありがとね?翔この後の電車でも大丈夫でしょ?”
“ねぇ、桜。俺、桜だから一緒に来たんだよ?言ってる意味、わかるよね”