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【ありえない桂さん】
長州藩邸へお使いを言い付かったわたしは、いつものように門番さんに挨拶をして中に入れて貰った。
玄関で取次ぎの藩士さんに用件を伝えて、返事を待っていると。
「・・・だーれだ?」
突然の、目隠し。
「えっ、し、晋作さん?」
こんな悪戯をしかけるのは、ここではこの人ぐらいしかいない。そう思ってわたしの目を覆った手をそっとのけると・・・。
「えっ?」
振り返ったわたしの目に映ったのは、なんと桂さんだった。
「・・・晋作だと思った?ちょっとがっかりだな」
ふふ、と笑みを浮かべる桂さん。でも、こんなこと普段絶対やらないじゃないですか・・・。
「じゃ、行こうか」
不意に手を取られてびっくりしてしまう。確かに桂さんに簡単な伝言のお手紙を届けに来たから会えてよかったけど、いきなりこんなことをするなんて、桂さんらしくない。
「どこへ行くんですか?あの、わたしお手紙を届けに来ただけなんです」
「そんなのいいから、遊ぼう!」
ぶんぶんと繋いだ手を楽しそうに振る桂さん。お・・・おかしい、絶対!
「ほら、いつもの不思議な箱とか、墨のいらない筆とか、いろいろあるだろ?」
あの、落ち着いた桂さんが、分別があって思慮深いはずの桂さんが・・・あるだろ、って?
「晋作さん・・・?」
思い切って呼びかけると、ぴたりと桂さんの笑顔が凍った。
「へえ・・・・さすが俺の女だな」
「女じゃありません!」
「即答だなっ!まあいい。実は今朝方小五郎と廊下で出会いがしらにぶつかったら、中身が入れ替わっちまってな」
「えええっ!!」
「面白いから、こうやって小五郎のふりしてあっちこっちで悪戯してるんだ」
「・・・・そうか。やっと見つけたよ・・・晋作・・・・」
突然背後で地の底から響くような声が聞こえてわたしは飛び上がりそうになる。
晋作さんの桂さんは、嫌がる桂さんの晋作さんを捕まえて、わたしに詫びた。
心底困りきっている桂さんを見て、わたしはひとつの提案をした。
「あの、桂さん、ちょっと試してみてほしい事があるんですけど・・・」
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小娘『はい!よーい、どん!』
桂『いくぞ、晋作』
高杉『おまえ・・・よくこの話乗ったな;』
桂『可能性は全て試すよ。この状況は耐え難いからね』
高杉『なにげに失礼な奴だなっ』
そして、廊下の端と端からお互い全力疾走した長州藩のカシラと参謀は、巨大なたんこぶとともにお互いの身体を、無事に取り戻したのでした。