07/04の日記

11:50
恋文
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大久保さぁのお使いで時折訪れる煙管屋の娘が何やら話があるちゅうて用事の後に呼びとめられる。なにやら赤い顔でもじもじしておるので、どげんされました、と近づいたら益々真っ赤になって泣きだしてしもうた。要領を得んので適当になだめて帰る。帰り際に文を袂に落すと逃げていった。

藩邸に戻り、大久保さぁに煙管の羅宇の挿げ替えたものをお渡しするついでに先ほどの出来事を何気なく話すと、文を見せろを仰る。つまらんものでしょうと差し出すと、じっと読みふけっておいでじゃった。そしてまた文を結びなおしておいに返されるときに、京女は情が濃い故せいぜい気をつけろ、と申された。


何事かと部屋を辞して、慌てて文をほどくとなんと恋文じゃった。



子供のころ以来、久方ぶりに地団太を、踏んだ。






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