幕恋hours short
□夢見・其弐
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「・・・・すまん、どうにも我慢できんかったがじゃ」
ばつの悪そうな顔で髪を撫でる龍馬さんに、わたしはくすくすと笑ってしまう。
あれから、夜通し幾度も求められるまま交わるうちに、疲れ切ったわたしは気を失ってしまった。
あんな夢を見たせいだろうか。
寂しさや、いとしさや、残してきたものへの思いが自分の中で混沌として、まるで助けを乞うように龍馬さんを求めてしまった。
龍馬さんは、それに気付いて応えてくれただけ。
「ううん、ありがとう・・・龍馬さん」
髪に伸ばされた手をそっと取り頬にあてると、そのあたたかい掌から彼の優しさが流れ込んでくるような気がしてうっとりと目をつぶる。
「そんな顔をされると、また欲しゅうなってしまうがよ」
龍馬さんはくっくっと笑ってそう言うと、裸の胸にわたしを抱きこむ。人肌のぬくもりがじかに伝わって、心が落ち着いてくるのがわかる。
「大好き・・・!」
わたしも背中に腕を回して、小声で告げる。
何度夢を見ても、置いてきたものに心を残し戸惑うときも、龍馬さんがいてくれれば大丈夫。愛することできっとわたしは強くなれる。
幸せな気持ちで、もう一度心の中で呟くと、龍馬さんの胸の中でわたしは再び眠りに落ちていった。
*end*