幕恋hours short

□おまえがすき
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「うおっ!?どうしたんだ深雪
!?」

晋作さんはいきなり涙を落したわたしにびっくりして、がばっと顔を手で挟んで覗きこんだ。

「な・・・なんでも・・・な・・っ」


しゃくりあげてしまって上手く言葉にできない。
こんなに一生懸命な晋作さんに比べて、なんにもできない自分が不甲斐なくて泣いてるなんて、とてもじゃないけど説明できない。

「泣きたいのなら、オレの胸で泣け!!」


そんなベタなこと堂々と言えるの、晋作さんくらいだよ・・・。

でも、ぐっと頭を引き寄せられ、彼の胸にぴったりくっついていると、どうしようもなく甘く痺れるような感覚が押し寄せてくる。



「・・・・お前は、頑張りすぎなんだよ」


押し付けられた頭や耳に、晋作さんの声が優しい振動とともに流れ込んできた。

「知らない世界、知らない人間、慣れない習慣や生活、食い物だって全然違うんだろう。それなのにいっつも笑ってるなんて、おかしいんだよ」


「・・・だってっ・・・」


「まあ、そんな深雪だから惚れたっていうのも確かだけどな!」



そんな。


そんな風に、優しくしないで・・・。



涙が止まらない。でも、泣く事がこんなに気持ちいいなんて、

今まで知らなかった。


熱い涙があとからあとからぽろぽろ零れ落ちる。
晋作さんはわたしの顔をそっと上げると、温かい唇で涙の痕を辿り、溢れた新しい涙をちゅっと嘗め取った。



無意識に、びくんと身体が跳ね上がる。



晋作さんは、大きく反応した私に一瞬動きを止めたけれど、意を決したように囁いた。

「深雪・・・・」


熱い吐息とともに入ってきた晋作さんの声。


その直後、滑り落ちた晋作さんの唇は、わたしのものと優しく重なった。











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