幕恋hours short
□ほろ酔い悪酔い
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「深雪、もういかん、おんしは酔っ払っとる。部屋に帰ってもう休め」
投げ捨てた帯を拾い上げて、龍馬は少し厳しい声で言う。
「いや!どうして私だけ飲んじゃいけないんですか」
「・・・わからん子じゃ」
龍馬はふうっと溜め息をつくと、いきなり深雪を抱き上げた。
「きゃっ」
「わがままはいかん、これ以上飲むと後が大変じゃ」
軽々と抱えられ、深雪は龍馬の腕の中でじたばたと暴れる。
「やっ!武市さん、慎ちゃん助けて!」
「って言われても・・・オレももう休んだほうがいいと思うっス」
中岡は申し分けなさそうに深雪に言った。
「私も同感だ。君は・・・酒癖があまり良くないようだ」
武市も苦々しい口調で言ったが、実は二人ともこれ以上深雪と一緒にいては理性がもたないと感じていた。
「龍馬、さっさと連れて行け」
最後に以蔵が憮然とした表情で言う。
「・・・後で、酔い覚ましの煎じ薬を持って行ってやる」
冷たい口ぶりながら、そう付け加えた以蔵を龍馬はにやっと笑って見た。
「以蔵は優しいのう」
「馬鹿を言え、明日寝込まれたら迷惑だからだ」
噛みつくように言う以蔵を後ろに、龍馬は深雪を抱いて部屋を出て行った。