幕恋hours short

□夢見・其弐
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自分から強請った口付けだと言うのに。


あっさりと主導権は奪われ、わたしの両手は布団に縫い止められてしまった。

「・・・・深雪」

まっすぐ見下ろされる真摯な眼差しがどうしようもなく気恥ずかしくて、思わず横を向いてしまう。

そのせいで晒された首筋に龍馬さんの唇が落ちる。

「あ・・・・っ」

「・・・深雪の肌は、まっこと綺麗じゃのう」

くすりと笑いながら、龍馬さんは唇を胸元まで下ろしていく。ほてった肌に冷たい鼻先がつんと当たって、背中がぞくりとした。

「・・・龍馬、さんっ・・・」

寝苦しいからと単衣をゆるく着付けて、細帯もいいかげんに結んでいたわたしの夜着は、龍馬さんが唇でさぐっただけであっけないくらい簡単に弛んでいく。

シュッとかすかな衣擦れの音と共に帯が解けたのがわかった。片腕でわたしを抱きながら、やさしく帯が抜き取られる。
明かりは疾うに落してしまった部屋の中は、障子越しのかすかな月明かりだけが頼りで、おかげで恥ずかしさは幾分薄れるものの、やっぱり無意識に身体が固くなる。

龍馬さんはそっと着物の合わせをひらくと、ほうっと息を吐いた。

「綺麗じゃ、深雪」

「・・・・そんな・・に・・見ないで・・・」

もう、初めてじゃないのに、それでも肌を見せることには慣れない。大好きな龍馬さんだから尚更なのかもしれないけど。

わたしは龍馬さんの視線を拒むように膝をすり合わせた。

「深雪、そりゃあ逆効果じゃ」

そんなわたしを見て、おかしそうに龍馬さんが笑う。

「・・・ますます、止められんようになるがよ」

艶を含んだその声に、わたしの躯の奥底がぴくんと反応するのがわかる。龍馬さんの言葉はいつもと変わらず優しいのに、まるで追い詰められた獲物のような気持ちになる。

ただそれは妙に心地好くて、捕食されることを、蹂躙されることをどこかで望んでいる自分がいる事実を認めている、背徳的な高揚感。

「あんっ・・!!」

ぐいと抱き寄せられ、胸の頂をきつく吸われて思わず声があがる。
躯の中心から、わきあがる歓喜で蜜が溢れてくるのがわかった。閉じた脚の間に龍馬さんの膝が割って入ると、つうっとそれが滴り落ちる。

ひらいた内股に掌を這わせ、にこりと微笑む龍馬さんの顔が目に入り、いやらしい女だと思われるんじゃないかと、羞恥に顔を伏せた。

龍馬さんは掬い上げた指をそっと入り口まで辿らせて、周りを撫で上げる。

「は・・・っ、あ、ん」

敏感な花芽に指が触れると、無意識に腰が揺れてしまう。

「もう、こんなになっちゅうが・・・」

龍馬さんの声がこころなしか少し上ずって、かすれている。わたしとの行為で興奮してくれているのかと思うと、じわっと嬉しさがこみ上げてくる。

「・・・龍馬さんのことが大好きだから・・・」

そう告げると、龍馬さんはすっと目を細めた。

「嬉しいことを言ってくれるのう」

「あ・・・っ」

濡れそぼった花芽を指先で弄ばれて、背中が反り返る。突き出された胸に龍馬さんは唇で丹念に愛撫を施してくれる。一番感じる部分を同時に責められて、痺れるような快感にわたしは思わず甲高い声を上げてしまった。

「やぁっ・・・だめ・・・」

拒絶の言葉とは裏腹に、わたしの躯は龍馬さんをもっと奥へと促すように腰を蠢かす。






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