*gift*
□恋より甘く
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いつからだろう。
夜が、こんなに長いと知ったのは。
恋より甘く
龍馬さんが時折会合と言って出掛ける宵。わたしは今日も微笑んで見送る。
そんなわたしを龍馬さんはちょっぴり困ったような顔で見て、じゃあ、と言って出かけていく。
龍馬さんたちの行く先が遊郭だと聞いたのは少し前。綺麗な女の人がたくさんいて、夜を共にする場所。
でもそんなことは知らない顔で、いってらっしゃいと手を振る。
だけど。
そんな夜はいつも、布団の中で泣いている。
いくら恋こがれても龍馬さんにとってわたしはただの迷子。行く先がないから、優しい龍馬さんはここに引き取って面倒を見てくれてるだけ。そう、何度も自分に言い聞かせる。
同じ屋根の下にいるのに、どうしてこんなに逢いたくてたまらないのかな。
布団をかぶって神様に祈ってみる。どうか今夜、夢でいいから逢えますように。そうしたら、きっと嬉しすぎてまた泣いてしまうかもしれないけど。
わたしだけを見てほしい、わたしだけに逢いに来てほしい。
言葉に出したら、きっと龍馬さんを困らせてしまうから、どうか、どうか。
大好きだから、あなたに逢いたい。
そんな願いを胸に、いつしかわたしは眠りについていた。