SS

□赤黒クレヨン
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帝人君とずっと一緒にいられてとても楽しい。でも帝人君はそうじゃないみたいだ。
どうしてだろう?あ、もしかしたらあれかな。遊ぶものがないから飽きちゃったのかな?
そうだよね!ごめんよ俺としたことがそんな事に気がついてあげられなくて。

でも携帯電話なんてダメだよね。だってそんなもの貸したら帝人君きっとアイツのところに電話しちゃうもの。別に帝人君のこと信用してない訳じゃないんだよ。ごめんね、だからそんな悲しい顔しないでよ!

テレビ?でもそれも駄目だ。だってもしうっかりアイツが池袋の特番とかで本当うっかり映ってたらどうする?あいつの後姿なんて見ただけでも吐き気がするよね。全くそう思わないかい?帝人君。

パソコンなんて全くもって論外。だってパソコンなんて言ったらアイツもダラーズの一員だもんね。あれ、もう抜けたんだっけ?ハハッまあ君とアイツが何であれ関係を持ってるってだけで虫図が走るから抜けてくれて俺は万万歳だけどね。
あれそんな怖い顔してどうしたの?アイツの事思い出したのかい??ごめんごめん嫌なこと思い出させたね。

ああ、そうだ。何か遊べるものだったね!

え、何外?外だって?そんな事言うもんじゃないよ。そうだね。聞きわけの良い帝人君は大好きだよ。
ああ、そうだ!
じゃあ紙とペンを貸してあげるから何か書いてみなよ。帝人くんならきっとセンスが良いもの!あのサイトのデザインも凄く格好良かったしね。これならそんな足で外に出ようとも思わないし。
はい、じゃあこれボールペンと紙。置いておくね!

じゃあ俺は少しだけ仕事に行ってくるから。
そんな寂しい顔しないでもすぐ戻ってくるから大丈夫だよ。


背後を向いた瞬間後ろからすさまじい風圧を感じた。あれ、どうやら帝人君が手に持ったボールペンを持ったままこっちに向ってきてる。あれれ?そんなに俺に置いて行かれるのが嫌なのかなもう本当に帝人君ったら可愛いな。でも危ないよ、そんなものこっちに向けたら。今だってちょっとずれてたら俺の目が潰れてたよ。全くお茶目なんだから。
全く仕方ないなあ。
あれ、今なんて言った。
まさかそんな汚い言葉を帝人君が言うはずないよね。だってその言葉は前あれ程もう言うなっていったよね。

本当はこんなことしたくないよ。でも悪い事をした帝人君にはお仕置きしないといけないよね。大丈夫だよ帰ってきたらちゃーんと抜いてあげるから。
嫌だやめろとばかりに細くてまるで少し指先に力を入れたらゴキリと折れてしまいそうな腕を簡単に捻り上げて何も身につけていない彼の下半身へと手を伸ばす。本来排泄器官としてしか機能していない場所に落とされたボールペンをねじ込めば彼の口から痛々しい悲鳴が漏れた。ああ、ごめんね帝人君。俺だって本当はこんなことしたくないんだ。だって君があんなあんな汚い言葉を吐くからああ゙ああ゙ああ゙!
ああ、ごめんね帝人君。大丈夫今日もすぐに帰ってくるからね。


ただ今帝人君。ボールペンは気に入らなかったみたいだからね!ほら今日は色鉛筆を買ってきたんだ。やっぱりボールペンより色があった方が楽しいもんね。ね!ああ、ただ忌々しい青と黄は抜いてあるよ。だってアイツを思い出して虫図が走るからね。ほら新しい紙も用意してきたんだ!
嬉しい?
え?抜いて?
ははっ。仕様がないな。反省したみたいだし抜いてあげるよ。

ずるり、と彼の排泄器官から細くて長いボールペンを引き抜けば丁度先端部分が彼の腸内を引っ掻いたようでひっと引き攣った声が聞こえた。見れば彼の腹部にはおそらく彼自身が吐き出したであろう白濁で汚れていた。数時間前に出されたのであろうそれは白く乾ききっていて彼は不快そうにうめいた。可愛いなあ帝人君。ちょっと待っててね今タオルを持ってくるからね。

戻ってきたら帝人君の手首から血が沢山出てた。あれ、さっきあげた画用紙が赤い色で染まってるあれあれ可笑しいな?

帝人君は部屋の隅で色鉛筆を腕に突き刺したまま転がっていた。あれれ、帝人君どうしたの?急いで駆け寄れば彼のカサカサに乾ききった唇からひゅと息が漏れていてまだ体も少しだけ温かくて。
ああ良かった帝人君はおっちょこちょいだからきっと間違って色鉛筆を自分の腕に刺しちゃったんだ。ああ、もう!

急いで止血をして手を心臓より高い位置へ持って行って口に含ませた水分をまるで親鳥が雛に餌を与えるように口から口へと注ぎ込めば白く濁って遠くを見つめていた眼球やっと俺を宿した。途端に吐くようにして注いでいた液体を口端から流れ出す。まるで飲み込むこと自体を体全体で拒否しているようだ。ああ、そうかもう水はいらないんだね。ごめんごめん。
小さな口で彼が何か言ったか聞こえないふりをした。だって可愛い彼の口がそんな汚らしい言葉を吐くはずがないのだから。


あの日以来彼は今まで以上に呆けるようになってしまった。こっちを向いてと言えば緩慢な動きでチラリと眼球だけ動かしてすぐに目を伏せる。声だって何日も聞いていない。水を飲ませようとすればすぐに舌に噛みついてくる。これじゃあ病気になっちゃうよ帝人君。
やっぱりあれかな。何か遊ぶものが必要なのかな。
ああ。そうだ。危なくないものなら良いじゃないか。流石俺。人を帝人君を愛してきただけある!大好きな帝人君の為にちょっと買ってくるね待っててね言えば小さな口でまた汚い言葉をつぶやいた気がしたけどやっぱり聞こえないふりをした。

ほら帝人君。見てみてクレヨン。やっぱり青色と黄色は抜いてあるけどね。
これなら帝人君が怪我することもないし俺が怪我をすることもないし最高だと思わないかい!え、何?もうしょうがないなあ恥ずかしがり屋さんなんだから。分かったよ!書き終わるまで外にいるから大丈夫絶対覗いたりしないって。

数十分たってそっとガラス扉から覗いて見れば今まで死人のように動かなかった帝人君が必死に白い画用紙に向かって何かを描いているのが見える。やっぱりクレヨンは大正解だったようだ。まるで幼児のように体を丸めて一心不乱に描いている。

ああ、やっぱり可愛いなあ俺の帝人君。

そんな事を考えているうちにどうやら彼の創作活動は終わったらしい。「帝人君。」と呼びかければ一度もこちらを振り返ることなく手に持っていた黒と赤のクレヨンを床へと放り投げた。彼の下に広がる画用紙には一面の黒と赤。俺が一番好きな色を使うなんて流石帝人君。

彼の描いた画用紙に何だか見覚えがあって、もしかしてもしかしたらと思って帝人君をぎゅっと抱きしめた。



「帝人君帝人君。これってもしかして俺のことかいてくれたの??」


ああ、彼はなんて照れ屋なんだろう。今まで一言も口をきいてくれなかったのも一度も笑いかけてくれなかったのも俺の気を引くために汚い言葉を吐いてきたのも全部全部このためだったんだね帝人君。
あまりにも嬉しくて頬を彼のすっかりこけてしまった頬に摺り寄せれば彼は少しも抵抗することなく口角を持ち上げてこう笑った。



「臨也さん臨也さん。これは貴方と貴方が流す血の色ですよ。」




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まやヤンデレちまった!ヤンデレと意味の分からなさで頭が爆発しそうです。従妹と落書きをしていて幼子の書く絵はなんかこう…凄えな。と。
イメージは屋根裏の少女。分かった人は私とお友達(^p^)それこそ誰も望んでないオプション。




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