正しいお友達の作り方
□8人め。
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・・・。
「無理だよっ、絶対に無理無理無理!!!」
今日はとうとう友達作り本番。
放課後、財前君に連れられて来たテニスコートで、私は危険なミッションを課せられていた。
内容は、コートに入り忍足君に声をかけて話を聞いて貰う事。
一見簡単そうに聞こえるこの内容(私には難しそうにしか聞こえない。)は、コートの外に居る女の子達の存在によって難易度が上がっている様な気がした。
凄い。
皆食い入るみたいに試合を見てる。
しかも・・・。
「キャーッ!!!白石君頑張ってやーっ!!!」
「忍足君こっち向いてーっ!!!」
凄い大きな声援。
・・・確実に場違いだな、私。
苦笑いを浮かべていると、休憩でも入ったのか、忍足君がコートから出てきた。
次の瞬間、数名の女子がタオルを持って忍足君のもとへと走り出す。
「忍足君っ、これ使ってくれへん!?」
「何言うとんねん!!忍足君はウチのタオルを使うんやっ。」
「あー・・・おおきに。」
1枚1枚タオルを受け取る忍足君。
やっぱり忍足君て凄い人気者なんだな・・・。
「何ぼけっとしとんねん、早よ行けや。」
「えっ・・・うわわわわわわ!!!」
素直に感心していると、財前君に背中を思いっきり押される。
「・・・大丈夫か?」
気付くと私は、忍足君にを受け止められていた。
顔近っ・・・。
「だ、だだだだ大丈夫ですっ、すみませんでした!!」
あまりの羞恥心と周りの空気の変貌に、私は逃げ出した。