正しいお友達の作り方

□4人め。
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友達作り、練習2日目の放課後。

図書委員会の本棚整理期間を良い事に、私達は図書室で友達作りの練習をしていた。
もちろん、今日の分の本棚整理を済ませてからだが・・・。




「ほなら先輩、俺を謙也さんやと思うて話かけてみてください。」

「うっ、うん。」




財前君と立って向かい合い、目は・・・見つめられなかったので全体を見た。

そういえば財前君って、間近で見るとこんなに身長大きいんだ・・・。

まぁ私の場合、自分より身長が小さい同い年の子なんて見た事ないんだけどね。

って、そんな事考えてる場合じゃない。

目を瞑って心の中で3回唱える。

財前君は忍足君・・・。

財前君は忍足君・・・。

財前君は忍足君・・・。

よし、これで大丈夫。

目を開けて挨拶をした。




「おっおおおおし、たっり君?ごっごご、ご機げ、んううっうるわっしゅーっ?」

「・・・声小そうてよう聞こえへんかったんすけど・・・先輩、何処の国の言語っすか。ちゅうか本棚8列分も離れてする挨拶って遠すぎやろ。」

「ごっ、ごめんなさい。」




直ぐ様向かい合った場所に戻る。




「それと先輩、1回笑顔してみてください。」

「え、笑顔?何で?」

「良えから。」





首を傾げる私に真顔の財前君。

えーっと、取り敢えず笑顔だよね?

笑顔笑顔・・・。




「こう、かな?」

「先輩、表情が般若になっとんやけど・・・それホンマに笑顔っすか。」

「う、嘘っ!?」

「ホンマっすわ。」




私の笑顔ってそんなに酷いの?!

ショッキングな真実に呆然と立ちつくしていると、財前君に溜め息をつかれた。

何か私、財前君に毎日のように溜め息つかれてる様な気がするんだけど・・・。

そんなこんなで、友達作りの練習2日目は幕を閉じた。
 

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