写真

□八枚目
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「由紀ちゃん由紀ちゃんっ、体育祭そろそろ始まるよ!!」

「何で自分そない元気なんや・・・。」



6時間体育するとかアホやろ、と呟きながら溜め息を付く由紀ちゃん。

今日は体育祭。

今は場所取りをしていて、後少しで開会式が始まる。




「えーっと、3組の場所は・・・。」

「あそこやないか?」




配られたプリントをもとに場所を探していると、由紀ちゃんが指を差した。

うわ・・・ここから結構遠いな。

でも行かなくちゃ。






・・・。




「・・・人が、いっぱいだね。」

「日差しも、一番強い所みたいやな。」




辺りを見回すと最前列にはたくさんの人が居て、全体的に人口密度が高かった。




「・・・これ確か、担任同士がじゃんけんして決めるんやろ?」

「うん。」

「・・・。」

「・・・。」




佐藤先生絶対じゃんけん負けたよね・・・。

担任の顔を思い浮かべながらその場に立ち尽くす。




『そろそろ開会式が始まります、生徒の皆さんは並んで下さい。』




会場にアナウンスの声が流れ、私達は直ぐ様列に並ぶ。

開会式は校長先生の話や準備体操など滞りなく進み、生徒代表の子が宣誓して遂に体育祭が開催された。




「・・・陽菜乃、オカンから頼まれ事されとるさかい、付き合ってくれへん?」

「うん、良いよ。」




場所決めに戻ろうとすると、由紀ちゃんにさっきより一段と低くなった声で話掛けられた。

どうしたのかな?

スタスタと無言で歩き始める由紀ちゃんの後を小走りしながら追うと、直ぐ様意味が解った様な気がした。

・・・忍足君が居る。

由紀ちゃんが向かって居る前方20メートル先に、忍足君がブルーシートを広げて友達と笑いながら話をしている。

その隣には白石君も居た。




「・・・。」




前回の事もあってか、私は気まずさのあまり俯いた。(←七枚目参照)

・・・それにしても、由紀ちゃんて忍足君の事苦手だったっけ?
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