写真
□一枚目
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中3になってまだ間もない4月の放課後。
俺は屋上で告白されていた。
「忍足君、ウチと付き合うてくれへん?」
名前は吉野 加奈。
俺と同じ中3で、今月知り合ったばかり。
「・・・堪忍な、自分とは付き合えへん。」
「何で?好きな子でも居るの?」
「・・・おん。」
頷く俺に、吉野の表情がひきつる。
ホンマにすまん・・・。
でも、俺はあいつの事しか考えられへん。
あいつの事が大好きなんや。
「・・・誰。」
「え・・・?」
「誰やの、その子。」
いきなり低くなった吉野の声。
言った方が良えんやろか・・・。
「教えて。」
「・・・3組の。」
言おうか言わないか未だに悩みつつも、平然を装いながら俺は答える。
「藤原、 陽菜乃や・・・。」
「はいっ!!」
『?!』
吉野の後ろにある貯水タンクの影から、その声を聞くまでは・・・。