写真

□一枚目
1ページ/1ページ



中3になってまだ間もない4月の放課後。

俺は屋上で告白されていた。




「忍足君、ウチと付き合うてくれへん?」




名前は吉野 加奈。

俺と同じ中3で、今月知り合ったばかり。




「・・・堪忍な、自分とは付き合えへん。」

「何で?好きな子でも居るの?」

「・・・おん。」




頷く俺に、吉野の表情がひきつる。

ホンマにすまん・・・。

でも、俺はあいつの事しか考えられへん。

あいつの事が大好きなんや。




「・・・誰。」

「え・・・?」

「誰やの、その子。」




いきなり低くなった吉野の声。

言った方が良えんやろか・・・。




「教えて。」

「・・・3組の。」




言おうか言わないか未だに悩みつつも、平然を装いながら俺は答える。



「藤原、 陽菜乃や・・・。」


「はいっ!!」

『?!』




吉野の後ろにある貯水タンクの影から、その声を聞くまでは・・・。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ