偽物ヒーロー

□08一度目の後悔
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「ホンマに?!」

「あ、はい。私で良ければ。」




立ち上がる私に、頷く十神さん。




「全然良えよ、十神さん!!・・・ホンマおおきにっ!!」

「うわっ・・・いきなり何すんねん?!」

「神崎さん?!」




あまりの嬉しさに、目の前の謙也を押し退けて十神さんに抱き付いた。

十神さんは天使・・・嫌、女神様や!!

女神様っ、ウチに奇跡をありがとう!!

神崎 遥、全身全霊で二人三脚走ったるで!!




「ほんなら、早速今日から

「二人共ちょい待ち。」




十神さんから離れて練習日の話をしようとすると、白石に会話を遮られた。




「・・・白石君。」

「何や白石、白石も二人三脚のパートナー決まってないんか?」

「何言うとんねん、俺の種目は徒競走とリレーとクラブ対抗リレーだけやわ。」

「ほんなら、尚更何でなん?」




首を傾げる私に白石が溜め息をつく。

・・・別に溜め息つかへんでも良えやんか。




「・・・あんな、自分忘れたんか?舞園さんの事・・・。」




・・・舞園さん?

どっかで聞いた事がある名字やな・・・。




「・・・あ。」




さっきまで話していた事を思い出す。

アカン、すっかり忘れとった・・・。

十神さんは・・・ウチの脚力についてこれるんやろか?




「十神さん・・・やったっけ?自分、中1の頃の体育祭でコイツが起こした事件は知っとる?」




私を指差す白石。

・・・何か物みたいに扱われとる気がしてムカつくんやけど。




「え、あ・・・はい。舞園さんの事ですよね。」

「せや。それでも自分は、遥の脚力についてこれる自信があるんか?」

「・・・それは。」




言い淀む十神さん。

なっ、何言うとんねん白石!!

せっかく十神さんがパートナーやってくれるて言うとんのやぞ!?
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