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□五枚目
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「・・・理由、聞かせてくれへん?」




ふと、吉野の事を思い出す。

俺もあいつと同じやな。

フラれとるのに、諦めきれへん。




「・・・えっとね、私忍足君と今日知り合ったばかりだし




・・・中1の頃同じクラスで隣の席やったんやけど。




「それに、私なんかじゃ忍足君と釣り合わないかなー・・・なんて。」




首を傾げながらにがわらいをする陽菜乃。

何や、それ・・・。

そんなの自分が忘れとるだけやん。

それに・・・




「釣り合う釣り合わないの話やないやろ?好きか好きじゃないか、それだけやんか。」

「・・・そかな?」

「せやで。それに、俺の事知らない言うならこれから知ってけば良えやん。ようは藤原さんが俺の事好きか嫌いか、この2択や。」




焦りながら早口で捲し立てる俺。

これで嫌いとか言われたらどないしよ・・・。




「でもやっぱり、今日いきなり知り合って付き合うっていうのは・・・。」




やからっ、中1の頃に知り合っとるっちゅーねん!!

出会いから進級までの1年の出来事、全部語ったろか?!

あーもうアカン。

どない頑張っても、今の陽菜乃の中で俺は今日知り合った人カテゴリにしか入っとらん。

どうせやったら中2の間に友達カテゴリに入っとれば良かった。

・・・ん?

友達?

せやっ、その手があったわ!!

恋の女神は俺を見放さなかったで!!




「・・・。」

「・・・忍足君、お腹抱え込んじゃってどうしたの?もしかしてお腹痛いとか

「友達やったら良えんかっ?!」

「うわっ?!・・・え?友達?」




上体を起こして陽菜乃の両肩を掴むとびっくりされた。

けれども今はそんな事に構ってる暇はない。




「おんっ、友達や!!藤原さん・・・やなくて陽菜乃っ、俺と友達になってくれへんかっ!?」

「・・・う、うん。友達なら別に良いけど・・・。」

「おおきにっ。ほな、また明日。」




俺は直ぐ様屋上を去る。

これが俺の、精一杯の悪足掻きやった。
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