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□道連れ。
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そうそう距離も開いていないのだが。
しかし曽良こそ聞きたい事だった。
「芭蕉さんこそ。僕の何処が好きなんです?」
僕は無愛想でしょうに。と、曽良が問うと。
芭蕉は次第に困った話になり、終いには俯いてしまった。
「そ…それはぁ〜…。」
「何です?」
「そ……曽良君だからだよ…。」
「…は?聞こえません。」
わざと芭蕉の元に近寄り、顔を寄せる。
「もう一度、言いなさい。」
「ッ!!だからぁー…。曽良君だから全部好きなのっ!!」
「…ッククク…。芭蕉さん。」
芭蕉の腰に腕を回して抱き締めた。
彼の匂いを少しでも嗅ごうと、首元に顔を寄せて更に抱き締める。
「曽良…君。ちょっと…苦しい…。」
「あぁ、そうですか。」
少し顔を上げてから、芭蕉の唇を食む。
形を楽しむように唇でなぞられ、芭蕉の瞼が快楽に蕩ける。
キスのまま、その距離間で曽良は笑った。
「芭蕉さん。何か…不安になったんですか?」
「ん…?うぅん。そうじゃなくて…。」
気持ち良さそうに曽良に体重を任せる。
「後ろに居る私に歩調を合わせてくれる曽良君の…背中見てたら。何か……堪んなくなってきちゃって。」
「ふぅん。」