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□空が碧くて。
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べーっと舌を出して笑う芭蕉を、曽良はお姫様抱っこの状態で抱き上げた。
「……もぅ……。」
「全部、貴方のせいですよ。」
「ふぅん?そうなの?」
曽良の首に腕を回し、唇を重ねた。
くちづけながら、我ながら大胆だなぁ、と一人思う。
ゆっくり、ゆっくりと。
唇を重ねる。
脳が、痺れるような。蕩けるような甘い揺らぎを、堪能しつつ。
深く、のめり込む。
「もう、貴方を離さない。僕だけを見て下さい。」
「ふふ。見てるじゃない?ずぅっと。」
いつの間にか止まった涙に気付き、曽良の瞼に唇を落とす。
「目、腫れちゃいそうだね?綺麗な顔が台無し。」
「その時は、芭蕉さんが冷やして下さい。」
抱き締めて抱き締めて。
深く、深く。
いっそ、貴方に沈んでしまいたい。