BOOK

□空が碧くて。
3ページ/3ページ

べーっと舌を出して笑う芭蕉を、曽良はお姫様抱っこの状態で抱き上げた。

「……もぅ……。」


「全部、貴方のせいですよ。」
「ふぅん?そうなの?」
曽良の首に腕を回し、唇を重ねた。

くちづけながら、我ながら大胆だなぁ、と一人思う。


ゆっくり、ゆっくりと。
唇を重ねる。


脳が、痺れるような。蕩けるような甘い揺らぎを、堪能しつつ。

深く、のめり込む。


「もう、貴方を離さない。僕だけを見て下さい。」
「ふふ。見てるじゃない?ずぅっと。」


いつの間にか止まった涙に気付き、曽良の瞼に唇を落とす。

「目、腫れちゃいそうだね?綺麗な顔が台無し。」
「その時は、芭蕉さんが冷やして下さい。」


抱き締めて抱き締めて。
深く、深く。


いっそ、貴方に沈んでしまいたい。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ