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□創作和菓子処『まめおか』
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ー 時は現代。ー
昼下がり。
麗らかな春が漸く近付いてきた冬の終わりに。
ここ和菓子処『まめおか』でも春を待ち侘びる人達が居た。
「いーーもこー☆」
「あっ!!太子!!あんたって人は…仕事しないで何やってんですかッ!!!」
思いっ切りベシッ!と叩かれ、太子は『ブベシッ!!』と言い吹っ飛んだ。
「酷い…社長に向かってこの仕打ち……。グスン…。」
「社長ならもっと仕事をしろよ!!!」
怒りに炎が揺らめく妹子だが、ブツクサ言いつつも太子に抹茶を立て、茶菓子を用意する。
「あ!今日のお茶菓子は芭蕉さんの新作ですよ!!」
「え!本当?わ〜い♪どんなの…ホゲェエエエエッッッ!!!首ッ!!?」
「え?あっ!!?」
茶菓子として出された人形焼きが、首と胴体を引き千切られていた。
「おかしいなぁ…こんな形じゃなかったんですが…。」
無残なマーフィー人形焼きを見てはいたが。
「はい。どうぞ。」
迷う事無く太子に再度差し出した。
「お前…そんな…お前…。」
ガッカリした表情で妹子を見やるが、尚も差し出す皿を黙って受け取った。