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□衝突
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「浮気、したでしょ。曽良君。」



唐突に。
珍しく恐い顔をした芭蕉が曽良を睨み付ける。
余りにも唐突過ぎて、曽良は只、眼を見開く事しか出来なかった。


「………………は?」

「わざわざ…そんな香り付けて帰って来て………何だよッ!!!!どうせ私はオッサンだよ!!色気があるわけでも綺麗でもないよッ!!!だからって……………。女通いなんて………………。」


それっきり声を押し殺す様にして、泣き出してしまった。

そんな芭蕉を、曽良は唖然として。
只、見ていた。


勿論女通いなぞしていない。


『……匂い……?』


思わず己の着物を嗅ぐと、花の香りがした。

そこで合点がいった。

「芭蕉さん。誤解ですよ。この匂いは」
「嘘っ!!!嫌ッ!!何も言わないでよ馬鹿ッ!!!!」


どうやら本気で女の元に行ったのだと、信じ切ってしまった。
芭蕉は、絶望の色をその瞳に映していた。


これには流石の曽良も、正直参った。



「僕が信じられないんですか?」
「ッ!!誰が信じられんのさッ!!!どうせ…私の躰なんて……。欲情もしないんでしょうよッ!?もう飽きたから捨てたんでしょッ!!!!もうどっか行け馬鹿曽良ッ
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