純恋歌月

□act,1
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身も心も凍えるような風が、私の髪を揺らした。

一応、防寒の為に長めの白いマフラーと手袋をはめてはいるが、冬の冷たい空気は私の吐く息を白くさせていた。


私の真上には綺麗に形を整えた、少しだけ欠けた月が、私を照らしている。


「はぁ〜。」


私は、ため息をつきながら綺麗に舗装されている道路を歩く。


2月22日。


その日は今日で、そして私の誕生日でもある。


なのになぜ、家にいないのか。


それは、家に誰もいないからだった。


それなら、早めに寝たほうがいいとは思うが、今日はそんな気分じゃなかった。



そう。


誰もいない家にいたくなかった。



誕生日なのに、誰もいなかったから……。


だから、私は家から一歩でも離れるために歩いている。


そして、家から何十メートルほど離れたところにその公園はあった。



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