みじかい

□フタコトミコト、
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「ねースイッチー」
「『なんだ咲耶』」
「スイッチってさー。言葉数少ないよね」

があん。
笛吹は頭を殴られたようなショックを受けた。
それってあれか、つまらないって事なのか?
つまらない男だと思われているのだろうか、俺は。
…それは困る。

「『なななななnにを言うんだ言葉数が少ないなんてボッスンじゃあるまいsしまるで語彙が少ないみたいに言うな俺はお喋りだぞ喋りまくりんぐだにょ☆☆』」
「タイピングミスしてるよー。ああ、うん、あのね」

猫のような丸く大きい瞳が、じっと笛吹を見つめる。
厚い睫毛に縁取られたそれを何回か瞬かせ、咲耶はにっこり笑う。
尖った犬歯を見せ、桃色の唇で囀った。

「決して悪い意味じゃないよ、寡黙な男の人ってかっこいいと思う」
「『かっこいい…』」
「うん。ほら、歌にもあるじゃん?『目と目で通じ合う』仲ってやつだよ、素晴らしいよ私達!」

果たして目と目で通じ合っているのかは分からないが、咲耶が嬉しそうならそれでいい。
笛吹は眼鏡の奥の目を細めそう思った。
しかしなんなんだ、今日の咲耶はどこかおかしい。いや可愛いからいいけど。
と、ふと視線を笛吹の瞳から外し、もじもじとしながらなにか言いたげだ。

「うん、そんなたくさんの言葉でなくてもいいんだ、だから」
「『だから?』」

白桃めいた頬を染め、マシュマロのように柔らかいだろう唇で。
咲耶は可愛らしい仕草で笛吹に、そっと呟く。

「……たまには、ちょっとだけ、好きって、言って欲しいな」






フタコトミコト、


(『好きだ、』)
(うん、)
(『…大好き、だ』)
(うん、…私も)







******


短いなあ…

スイッチそんなに寡黙でもない(多分)けど、二人きりだと緊張して無口になる…とか。萌える。
ヒロインもあんまりお喋りじゃなくて、二言三言の少ない言葉でもちゃんと好きだって伝わるよ、みたいな。
そういうの書きたかったのにな……

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