Girl


□Welcome!!
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「なんなんだよもうー!!地図なんか見たってわかんねぇよっ!!」
大きなスポーツバッグを一つ持って白い、いかにも人によって書かれた地図を片手にそんな事をぶつくさ言っている女の子がいた。バスを降りたはいいが、道が分からない。そして歩きまわっているうちにここに着いたのだ。道の端にバッグを置いて、その上に腰を下ろした。…そう。道に迷ったのだ。少女はあたりを見回した。車一つ通らない。平日のせいもあるが、シーズンオフのこの温泉街はさみしいものだ。その温泉街に不似合いに見える、というよりは恰好がいかにも都会から来たという感じのその少女は頬杖をついた。年のころあいは17、16。どこかの高校の制服を着ていてチェックのミニスカートがよく似合う。ものすごい美人、というわけでもないが、もしも今が春でなく夏であったならビーチで水着姿のこの少女がいれば、ナンパされていても不思議ではないだろう。名前はルフィという。今どきにしてはわりと古風で一味違う魅力を持つ彼女は空を見上げた。流れて行く雲を見た後、制服のポケットから先ほどの地図と一通の手紙を出した。封筒から便せんを出して開いてみた。
―ルフィへ 同封した地図を見てここへ来てほしい。大事な話がある。―
…としか書かれていない。彼女は封筒の裏の差し出し人の名を見た。“シャンクス”と書いてあった。
「なんなんだよぉ…。急に呼ぶなんてさっ。勝手だなぁ、ほんとに」
と呟くと、立ち上がってスカートを払うとバッグを持ちあげた。便せんを封筒にしまうとポケットに入れて地図を見た。
『ま、いっか。そのうち着くよな。』そう思って再び歩き出した。
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