Boy


□曇りのち晴れ
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「なんかゾロ、今日ヘンだなっ。なぁ、チョッパー?」
甲板でルフィがチョッパー抱き上げて言った。
チョッパーは真ん丸い瞳を甲板の端に向けた。
両手を頭の後ろに組んでうるさそうに周りでわめいているウソップを見ているゾロを見て、ルフィに視線を移した。
「おれにはそうは見えないぞ」
ルフィはチョッパーを抱き直すとぽつりと言った。
「男のカンだ。うんっ。」
「???」
首を傾げたチョッパーに影が映って見てみると、ナミがいつの間にか二人の前に立ちはだかっていた。
「なんだよナミ、なんかあったのか?」
ナミは腕を組むと渋った表情で言った。
「あのね…アンタ、なんかあったのってのんきにチョッパー抱いてる暇ないでしょ。あれを見なさい!!」
「??」
ナミがびしっと指差したのは先ほどのウソップとゾロの様子だった。
ルフィはしばらくそれを見て再びナミに視線を移した。
「ゾロとウソップがどうかしたのか?」
ナミはこの超、がつく程鈍感な船長に言いたくなかったがやはり言わざるを得なくなった。
「あのねぇ…アンタいいの??!このままじゃゾロをウソップに取られるわよ、って言ってんの!!」
すると、ルフィはまんべんない笑みを浮かべて言い放った。
「ダイジョーブだっ。ゾロはおれにぞっこん(死語)だからなっ!!」
ナミは半ば呆れながら、このバカ船長を殴ろうかと一つ拳を作って手を震わせた。
「…殴られたいの?アンタ」
それを見かねたビビとサンジが押さえた。
「ナっ、ナミさん落ち着いて!!」
「ルフィのバカは今に始まった事じゃねーし…」
ルフィはチョッパーを抱いたまま立って、ビビとサンジに押さえられたナミを見て微笑んだ。
「わかってるさっ。もしゾロがウソップを好きになったらそれはそれでいいんだ。…ゾロが幸せならおれも幸せだしっ!!」
そう言うとにっこり笑ってルンルン気分で駆けて行った。
その様子をビビもナミもサンジも見詰めていたが、おもむろにナミが口を開いた。
「…あいつ…大人になったわね…。」
その場にいた全員が頷いた。
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